「少子高齢化に歯止めがかからない」という報道を目にすると、今年68歳になる高齢者の私としては肩身の狭い思いがします。
皆さんのイメージとしては、街は老人ばかりで医療費がかさみ、それを支える働き手が少なくなり負担が倍増するということでしょうか。しかし高齢化は平均寿命が伸びているということですから、やがて高齢者になるみなさんにとっても悪いことではありません。
そもそも高齢者が増えたからといって高齢化にはなりません。高齢化とは人口に占める高齢者の割合が14%以上のときを指します。すなわち少子化がなければ高齢化とならないのです。

少子化の何が問題なのかといえば、一つには国力の衰退です

我が国はかつて国民総生産GDP世界第2位であったのに、近年中国に抜かれました。それはそうです。中国の人口は14億人、日本の約11倍です。一人当たりの生産がたとえ日本の10分の1でも、国民総生産は日本をしのぐ計算になります。
かつて若者は兵力であり、労働力であり、高齢者の介護者で、農業や家内工業の事業継承者でした。少子化は国内産業の生産性を低下させ、国の保護を要求するため、国力が低下するのです。

このように第二次世界大戦の戦勝国と敗戦国によるグローバルノースが軒並み斜陽であるのに対して、グローバルサウスでは人口爆発が生じています。これは生物学的には「環境抵抗」で説明がでます。
生物の個体群成長曲線は指数関数的に増加します。ことにヒトの場合は紛争や感染や飢餓が環境抵抗となって人口増加を押し下げますが、環境抵抗が強いほど生殖力は増加します。戦前・戦中の日本の出生率が高かったのもそのためです。戦後、環境抵抗が一気に消失したため日本でも人口爆発が起きました。現在のグローバルサウスの人口爆発も、これまでの強い環境抵抗が一気に消失したためと説明できます。

人口爆発が起きると「密度効果」が生じます。餌と棲家が不足するとホルモン環境が変化して出生率が減少するのです。生物の社会では個体数が増加しすぎると視床下部の刺激ホルモンが減少して少子化が生じるのです。

世界人口も無制限に増加するのではなく、100億人を突破した時点で密度効果が生じ、それ以降は減少の一途を辿ると予測されています。
このように増え続けた人口が減少するのは生物学的摂理なのです。これに抗って生殖力を上げるには、生物界に学ぶしかありません。
草食動物は草や藻を食べます。光合成を行う葉緑体を構成するオメガ3のαリノレン酸を摂取して、体内でDHAに変えることによって精液を作るためです。肉食動物はαリノレン酸をDHAに変換する酵素を持たないために草食動物を捕食してDHAを摂取します。ヒトもDHAの変換率が低いために少子化を生じています。

そこで読者の皆さんには「ビタミンD入りのクリルオイル」を摂取することをお勧めします。クリルオイルとは、海洋汚染のない南氷洋で取れたエビのような動物性プランクトン「ナンキョクオキアミ」から抽出したオメガ3のオイルです。以下の成分が含まれています。

  • EPA:抗炎症作用によってアレルギー、うつ病、糖尿病、がん、心筋梗塞、脳梗塞を予防します。
  • DHA:脳細胞、目の網膜、精液を作ることによって脳力アップ、視力アップ、精力アップします。
  • アスタキサンチン:ビタミンCの6000倍の抗酸化力によって老化やがんから身を守ります。
  • リン脂質:以上の栄養を血中輸送し、細胞内に速やかに移行させます。
  • ビタミンD:性ホルモンと同じステロイドホルモンで全身の臓器に受容体があります。免疫・ホルモン・自律神経を整えてがんや不妊症を予防します。

確かなエビデンスを元に健やかな人生をお送りください。

著者プロフィール

南雲吉則(なぐもよしのり)

1955年生まれ。慈恵医大学卒業、乳腺専門医、医学博士。バスト専門のナグモクリニック総院長として東京・名古屋・大阪・福岡で診療を行うかたわら、若返り・ダイエットのベストセラー書籍多数。分かりやすい解説が好評で、テレビ出演や講演に多忙な毎日を送る。近年は、がん患者の命を救う食事と生活術「命の食事」を提唱。国内外の医科大学の客員教授、非常勤講師。

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