国内外で数多くのトップアスリートの栄養指導などのサポートをされている管理栄養士の金井麻由美さんと、日清食品グループ陸上競技部の選手として活躍され、現在は慶應義塾體育會競走部の長距離コーチである小野裕幸さんによるラブリーテフ対談のPart3。
トップを目指す選手や練習に悩むランナーに向けてのアドバイスや今後の抱負などをたっぷり伺いました!
自信を力にするために 自分を信じる力をどこから作っていくか
小野さん:
試合に向けての練習は全部自分で組み、いかにそのメニューを確実にこなすか、だと思います。
自分の場合は、経験上、試合1週間前の練習を確実にこなしていれば絶対に走れる、という確信が持てます。
ある意味、試合よりも1週間前の練習の方が大事なくらいですね。
これはいかにその練習をこなすか、というために体を作っていき、練習を組んでいく、その積み重ねです。
その前の準備、その前の準備…と遡っていって、これができたから次はこれができる、その次はこれができる…と積み重ねて、最終的に「この練習ができるから絶対この試合は走れる」と思えるようになる。
それをやるために日々集中しています。
そして、そこをいかにやるか。
選手は皆、それぞれにそういう練習があると思います。
上の選手になればなるほど、「この練習できれば絶対自分は走れる」というメニューが確立していると思います。
いかにそこまでもっていくか、集中して考えていくかが重要ですね。
金井さん:
私がサポートをしているときは、「トレーニング以外のところで、どのような準備をしていくのか」、ということをが伝えるようにしています。
トレーニングだけでなく、全てのことが競技に繋がっていき、自己管理ができることが、自信にも繋がると考えているので。
特に合宿は共同生活になるので、色んな部分が見えてきます。日常生活の行動が、実は競技力にプラスにもマイナスにも働く。
なので、気付いたことはできるだけ選手に伝えるようにしています。
このようなコミュニケーションは、食事を楽しく食べてもらえるためのきっかけにもなっていると思います。
「ただ作って出す」というだけにならないように、とても気を付けています。
小野さんから トレーニングメニューの立て方についてのアドバイス
小野さん:
目標とするレースと、今までやってきたトレーニングの意図をどれだけ理解するかが大切ですね。
例えば1000mを10本やりなさい、400mを15本やりなさい、30km走りなさいといったトレーニングがあったとします。
400mなら、レースペースに近いペースで走りながらカーブのキレなどを自分自身に体に覚えさせる、キレを取り戻させるための練習だったり、1000mはスピード持久要素も入っているので、よりレースに直結する実践的な練習であったり、30kmはレースのための足作りの練習だったり、30kmが25kmになってペースアップするのであれば、プラスアルファで心肺機能も鍛えるようなメニューになってくる。
こういったことを一つ一つ理解した上で、今の体調と、自分が目指すレースに向けてどの練習が必要なのか、練習の意図が理解できていれば、自分で当てはめることができると思います。
すごく簡単な例ですが、10,000mのレースを出るのにレース1週間前に30kmのメニューを練習する人は多分いないと思うんです。もしそれをやっているのであれば、練習の意図が理解できていない。1000m×10本やろうとする。自ずとやるべき練習がわかってくると思います。
それができないのは練習の意図が理解できていない、「今の自分の体にこういう練習をしたらこういう結果が出てくる」ということを正しく理解できていないということです。
理解することによって、今必要なメニューが自分なりに組み立てていくことができます。
高地トレーニングについて
小野さん:
それが例え練習する環境が変わったとしても同じです。
例えば高地トレーニングで1000mを3分でやった場合、標高が低くなればその分楽に走れるようになるので、ペースの設定を上げてみる。
高地トレーニングで同じ練習をすると疲労感も平地よりも高くなるので、平地ではペースを上げるために本数を増やしてみる。逆に1000mを3分で走れるのが平地のベストだとしたら、高地ではそれを600mでやってみようとか、タイムが揃うまで距離を減らしてみようとか、同じような負荷がかかる様に調整してみるなど、環境が変わっても、高地トレーニングというのは体にどういう変化をもたらすのかというのを理解すれば、平地トレーニングをするときにも何をすればいいかがわかってくると思います。
どんな状況でも、この状況で体にどういう変化が起きるか、どういう練習の意味合いなのか、を理解することで、環境などが変わっても自分でメニューを組み立てることが可能になると思います。
金井さん:
高地トレーニングでは、トレーニングの環境が変わるので、食事だけはできるだけ普段から継続して食べているものを準備するようにしています。
また、エネルギー消費が増えるので、エネルギー不足がないように食事の内容も工夫します。
「高地」という環境だけで、平地よりも体への負担や内臓疲労が出やすくなり、食欲が落ちるリスクもあるので、その点も注意しています。
金井さんから 「ランナーのカラダ作り」のための食事についてのアドバイス
金井さん:
まず、エネルギーのバランスを見直すことが大切です。
摂取しているエネルギー量ももちろん大事なのですが、エネルギー源となる栄養素の「糖質・脂質・タンパク質」のバランスが重要。
「ランナーは軽い方が走れる」ということから、「糖質をカットして減量しよう」という傾向があります。もちろん、体重が軽いことのメリットはありますが、「ランナーのカラダ作り」には、糖質は必要不可欠!!
糖質をベースに、タンパク質と脂質のエネルギー摂取を考える習慣を!!
次に、普段食べている食品の種類や量を知ることです。
様々な食品を食べることで、自然と栄養バランスが整います。
好き嫌いがある人や、食べるものが偏る人は、その点を見直すことから始めると少しずつコンディションが良くなってきます。選手のサポートでも、「現状把握」→「課題の抽出」→「改善策の提案」→「実践」という流れで、食生活、食行動の変容を促し、自己管理ができるような指導をしています。是非、活用してみてください!
最後に今後のお二人の抱負を伺いました
小野さん:
現在指導している慶応大学を箱根駅伝に出場させることですね。
その前段階として、毎年の学連選抜で一人ずつ選手を輩出させることを目標に頑張っていきます!
金井さん:
選手だけでなく、現場スタッフや選手をサポートしている家族や関係者の方に、食事の話をしていきたいですね!
また、同じような思いで仕事をする人が増えて欲しいと思っています。
オマケに…お二人のお気に入りアイテムを伺いました!
金井さん:
マイ包丁、木のまな板、包丁研ぎです。
必ず遠征などにも持っていくアイテムです!
毎日使う道具なので、欠かせないですね!
小野さん:
C3fitというハイパフォーマンスウエアのレッグウエアがお気に入りです!
https://www.goldwin.co.jp/c3fit/athletestalk/vol01/
3回に分けてお送りした、慶應大学長距離コーチ・小野さんと管理栄養士・金井さんの対談、いかがでしたでしょうか?
トップアスリート、そしてアスリートを指導・サポートする立場から、貴重なお話をたくさん伺うことができました。
小野さん、金井さん、ありがとうございました!
ラブリーテフはこれからもアスリート・スポーツを愛する方を応援しています!
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